みなさんこんにちは!(*^_^*)
楽器の演奏、仲間とのアンサンブル、コーラス・・楽しいですよね。♪
音楽の演奏は上達するほどに楽しみも増してきますが、
同時に悩みも多くなりませんか?
例えば、
・音程やアインザッツ(タイミング)が合わない・・。
・和音が上手くハモらない・・。
・テンポやフレージング、指使いやボーイングが楽曲の解釈とあっている確信が持てない・・。
・上手くいったときの演奏が再現できない・・。
など高度な気づきや悩み増えるるのは、よりクオリティーの高い演奏を求めている証拠なんです。
このサイトでは、みなさんにいつでも確信をもった演奏・合奏を楽しんで頂けるようにお手伝いします。(*^^)v
『アンダンテモデラート』Vol.2《~和音の構造~ / 倍音ってなに?》は以下の内容です。!(^^)!
それでは早速はじめましょう。
・倍音とは?~
響きの秘密=倍音(Over Tone)とは、以下の倍音系列表にあるように、
- 基音(発音する音=第一倍音)に対して
- そのオクターブ(倍の振動数)上・・・第2倍音
- さらに完全5度上・・・第3倍音
- 完全4度上・・・第4倍音
- 長3度上・・・第5倍音
- 短3度上・・・第6倍音
- 短3度上・・・第7倍音
- 長2度上・・・第8倍音
- 長2度上・・・第9倍音
- 長2度上・・・10倍音
- 長2度上・・・第11倍音
- 短2度上・・・第12倍音
- ~・・・・・・さらに狭い音程で上に続く
といった具合に、基音に対して共鳴する(響く)音のグループの事を指します。
そしてこのグループは基音とは違って耳には聞こえていません。
聞こえませんが、倍音上の音を上方に実際に重ねることで、お互いに共鳴しあってよく響く音のグループ・・となります。
あくまでもアコースティック楽器(空気振動による生楽器)と人声での現象です。シンセやCDなどの電気音は含まれません。
・倍音系列から何がわかるの?
さて、この倍音系列をよく観察してみると、
- 三和音の構造と成り立ち
- 七の和音や九の和音といった三度音程の積み重ねの様子
- 和声構造上の特性を利用した演奏&編曲の工夫ポイント
・・・などが見えてきます。
さらにそこから発展して、
調性音楽の作曲、編曲、古典の名曲の演奏法にとっての、
『ヒントの玉手箱』であることがわかります。
ではひとつづつ見てゆきましょう。
・三和音の構造と成り立ち
次のお話しは『三度音程の誕生』について、かつて作曲の師匠から伺った貴重なお話しです。懐かしいなぁ・・・。
昔々、原始の人々は太鼓を使って、遠くの山から狩りの成果などの信号を送っていました。
~ 作曲家 池野 成 談 ~
やがてだんだんと信号が複雑?(伝える内容が増えたため)に、一つの太鼓で”タンタンタン”で済んでいた信号が、二つの太鼓で異なる音の高さ、”タントンタントン”に変わって行ったんだそうです。必要に伴って。
その際、徐々に三度の音程に絞られていった・・と。
つまりは、三度の音程が人の耳にとって、音の高さの違いが一番判断しやすく聞きやすかった故であると。
そのように、三度の音程というのは耳触りの良さを元々持っていたようです。
これを私は師匠からお気に入りの打楽器談義としてお聞きました。まだ私が十代の頃です。笑
ここでこの話しを引用したのは、倍音系列の三度音程を形成する第四~第六倍音がそのまま三和音の原型であるからに他ならないから・・です。このような倍音性質上の『正解』があるとは夢にも知らずに!
さてそこで、もう一度倍音系列の表をよく見てください。
第四、第五、第六倍音で確かに三和音を形成していますよね。
・七の和音や九の和音といった三度音程の積み重ねの様子
さらに上に第7倍音、第八倍音とこれも三度が続いています。(三度音程の堆石)
これを、第四~第六までの”ドミソ”の三和音に対して、『七の和音』、『九の和音』といいます。
そこから第十二倍音まではニ度の連続・・・つまりスケール。
さらにその上になると半音階ということになり、
基音(系列図の一番左)から第十二倍音~それ以上へと右に移動するにしたがって、古典派からロマン派、近現代へと和音の工夫が自然に、現代音楽の不況和音の方向へと進んで来たことと一致しています。
面白いですねぇ~。(*^。^*)
・和声構造上の特性を利用した演奏&編曲の工夫ポイント
その性質を計算に入れて作曲された曲は、何十年、何百年と経ってもとても良い響きがします。
また、計算に入れての演奏は、効率的で美しい響きをよく再現します。
具体的に見てみましょう。
ドミソの和音を前提に、この第十二倍音までの中に、
①根音・・・三度音程のたい積の根っこになる音・・・ドミソの和音の”ド”の音
②第三音・・根音からの最初の三度音程となる音・・・ドミソの和音の”ミ”の音
③第五音・・第三音のさらに三度上で、根音から数えて五度の音程となる音・・・ドミソの和音の”ソ”の音
上記①~③の三つの構成音がそれぞれいくつ入っているでしょうか。
①根音=基音、第二、第四、第八と合計4個。
②第三音=第五、第十と合計2個。
③第五音=第三、第六、第十二と合計3個。
ということは、
《響き》・・という側面からは、根音が最も共鳴音が多いのでよく響き、次に第五音、そして第三音は共鳴する要素が少ない・・ということになります。
その特性を生かして三和音をバランスよく配置(作曲・編曲の際)したり、もしくはオーケストラや吹奏楽が全員で同時に和音として演奏(Tutti=トゥッティ)したり、コーラスが良いバランスでハモりたいときには、
この倍音の数に沿ったバランス(人数や個々の音量のバランス)をとれば、自然倍音の助けを借りて美しいハモりができる!
ということですね。(*^^)v
作曲家の仕事の面に限定して言えば、こういった倍音系列の存在があること、そしてそれが心地よい響きの秘密であることが解明されない過去の時代であっても、響きに対して本能的感覚の鋭い作曲家はその法則を本能的に感じて音楽を書いています。
(と言いたいところですが、中には例外もあり、作曲家によっては音の重ね方を失敗?している例もあるのです。具体的には次の『コラム』に詳しく書きます。(*‘ω‘ *))
・コラム=倍音を計算に入れそこなったら?
ここでは、ほんの一例として特に「有名な名曲」の計算違い?についてあげてみましょう。
これは名曲、ベルリオーズ作曲『幻想交響曲』冒頭部分です。
第二小節のcminor(短調のド、♭ミ、ソの和音)を見てください。
ド=4個、ミ=3個、ソ=4個の重なりを作っています。
ド=根音、ミ=第三音、ソ=第五音の三和音で書かれているので、倍音系列の自然な音の数からすると、第三音、すなわち”ミ”の音数が多いのです。バランスからして。ただ、
- ・オーボエの半音階スケールの到達音である。
- ・ppp指定 ⇒ 強奏(f以上)よりは弱奏の方が目立ちにくい。
- ・前小節の2ndフルートが第七音なので”ミ”に解決する必要がある。
という理由でこの二つの”ミ”の音は仕方がないとしても、
☆何故、2ndホルンがここから”ミ”の音を新たに付け加えるのか・・?
ホルンパートの中での三和音のバランスを取っているといえばそれまでですが、実際、前からの流れがない状態でこの第三音を吹くパートは、音量的にも音程的にもやさしくはありません。
(和音上の音程の取り方には次回以降のブログで詳しく書きます。)
指揮者がその苦労を知っていて、なおかつ効果としてはそれ程必須ではないことを分かっていれば『免除』してあげたいところですねぇ。・・・【筆者の意見】笑
といった具合に、他にもショパンやシューマンなどのオーケストレーションにも度々こういった例が見受けられて、
現場の奏者や指揮者に効果を委ねられているという例があるんですね。
これが、ピアノ作品の場合は倍音=残響=ペダル操作ということになるため、どの作品でもペダリングの操作はともてデリケートで、その効果を生かすためには奏者の感性に委ねられている部分が多いのです。
* * * * *
それでは今回はこれくらいにして、次回も倍音効果を巧みに工夫してある作品の具体例や、倍音を計算に入れた演奏の工夫についての続きを書きます。 お楽しみに・・。(*^^)v
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