みなさんこんにちは!!^_^
音楽の演奏って,《上達するほどに楽しみも増してきますが、同時に悩みも多くなりませんか?》
・音程やアインザッツ(タイミング)が合わない・・。
・和音が上手くハモらない・・。
・テンポやフレージング、指使いやボーイングが楽曲の解釈とあっているか自信がない・・。
・上手くいったときの演奏が再現できない・・。
などの高度な気づきや悩み増えるるのは、よりクオリティーの高い演奏を求めている証拠なんです。
【当サイトでは、皆さんに確信をもった演奏・合奏を楽しんで頂けるようお手伝いします。】
前回の《Vol.5 》~ スケール・旋律 『調性感』ってなに? では『音階、旋律、調性感』についてでしたね。
特に『調性感』については前回の後半でも触れましたが、『音感』や『チューニング』が大きく関わってきます。
そこでキーとなる、是非押さえておきたい『純正率』『平均律』について、今回もさらにお話が続きます。
内容については以下です。(*^-^*)
それでは始めましょう!
音律ってなに?
まずは『音律』って聞いたことありますか? 簡単にひと言で説明すると、
・音階を構成している、 ” 音 ” 同士=ピッチ「高さ」についての相互関係のこと・・・音階(スケール)の原型。
ということになるのですが、そもそも、古くはピタゴラスの音律から始まる「音律の変遷」のことを書き始めると、
余裕で本が一冊書けるくらいの長~い内容になってしまいます。💦
ので、音律についての詳細はそちらの専門書を読んでいただくことにして、ここでは音律が長い間に変遷した挙句、
最終的に定着した音律の形=『純正律』そこから工夫されて後に確立した『平均律』が、
現代の実際の演奏にどれくらい関わってくるのかについてお話ししようかと思います。
純正律と平均律・・簡単にいうと
・『純正律』として定着した「音律」は、当時の主楽器であるオルガンやチェンバロ、ハープシコードなどの調律として機能していましたが、Bach一族という天才が現れて、現代のピアノに採用されている平均律を導いたのです。
しかしよく考えてみると、実際に平均律を考案したバッハの時代には平均律の楽器=現代のピアノはなかったのですよね。
100年近くの時間が経って現在のピアノという鍵盤楽器、
=『完全なる平均律の楽器』が生まれるのを予想して、平均律で調律される鍵盤楽器のための楽曲を残したんですから、その予知能力?には驚くべきものがありますね・・・。👏
結論!!
平均律というのは鍵盤楽器の調律・『現代のピアノの調律のこと』です。
それ以外の自然倍音を持つアコースティック楽器は、
すべて『純正律の楽器』・・・ということになります。
* * * * *
さて、続いてはピアノという『平均律で調律する楽器』と『自然倍音を生かした純正律の楽器』とを比較して、
それぞれの利便性、欠点などについて見比べてみることで、現代の我々が演奏に利用するべき個々の楽器の特性、
特に調性感や音程の取り方について考えてみようと思います。
純正律と平均律・それぞれの比較/特徴
チューニングの方法の違い
*純正律
・基準音(多くはA=440~442Hz周辺)を決めて、そこから三度、五度、八度と人の耳に心地よい音程と、
スケール上の音の役割り(特に第五音と導音)を感じて音程を作ってゆく。
*平均律
・基準音を固定し、一定の振動数によって三度、八度を、オクターブ内で均等な半音と全音の関係で
合わせてゆき、オクターブがその名の通り”倍”の振動数になるように調律してゆく。
それぞれの利点
*純正律の利点
・調性感を意識しやすい。
(オクターブ内に半音が二つあり、導音と主音の音程の方が狭く感じる=導音⇒主音へ働く力が強いと感じるため)
*平均律の利点
・どの調も半音と全音の関係が均等だから、調性によって音程のバラツキがない。
・どの音からもオクターブごとに整然と振動数が揃っていて、音域が広い。
それぞれの不利点
*純正律の不利点
・オクターブ内の音程感がスケール上の音の役割(第三音、導音など)によって微妙な影響を受けるため、
オクターブ間に誤差が生じ(不均等)、綺麗にハモれる音域が狭い。
・自由な転調に伴っての音程の取り方が難しい。
(特に遠隔転調の際に、異名同音=ファの#をソの♭に読み替える際に、元の調と転調先の調における
スケール上の同じ役割の音になるとは限らないため。)
*平均律の不利点
・調性感が薄れる。(どの調の半音も均等だから)
・原調はもちろん、転調するごとに転調先の調性の色のイメージを強く必要とする。
純正律と平均律・演奏の秘密と工夫
ところが、これらの利点・不利点は工夫次第ではそれぞれに逆に利用することも可能なんですね。
✔例えば調性感が薄い平均律では、逆に演奏者が調性感の中で色彩という自由なイメージをしっかりと持てば、
* 転調などの色合いや和音の濃淡の効果を引き出してあげることが出来るでしょう。
✔さらに、純正律・平均律の楽器同士が合奏する(異種格闘技?!笑)、
つまりは独奏楽器がコンチェルトやソナタを演奏する際に、
ピアノ伴奏とオーケストラ伴奏では、それぞれの音程の合わせ方、も変わるということになりますね。
*フランス・コンセルヴァトワールの学生オーケストラは、
【ピアノコンチェルトを伴奏する際は平均律】で・・
【ヴァイオリンコンチェルトを演奏する際には純正律】で・・
と弾き分けるトレーニングをするそうですよ。(*’ω’*)
* * * * *
あるクラリネットのリサイタルで、『ドビュッシーのソナタ』をリハーサルから聴く機会がありました。
伴奏ピアノの平均律の音程に、ソロクラリネットの音色をブレンドし、かつ正確な平均律で音程を取るために、
独奏者はピアノの蓋を全開にした窪みの所に立ち、ピアノの蓋の中に頭を突っ込んで演奏していました。
そして、その効果は絶大でとても美しい平均律のデュエットでした。
(このお話しは次回のコラム特集に詳しく書くつもりです。(*^-^*))
👆実はこの貴重な実例には平均律の音程を取るための他にも『深い理由』があります。
『それは、作品がドビュッシーの曲だったことです。』
ドビュッシーは、作曲をする際にピアノをフルに使って作曲していたと思われる、平均律の作曲家です。
彼のピアノ曲はもちろんですが、例えば、純粋なオーケストラ作品の『牧神の午後への前奏曲』とか交響詩『海』など、
明らかに《平均律上で美しく響く和音》に満ちているのです。
さらに、フランスのオーケストラで『牧神』を聴いた際に、1st Violin がシットリと濡れたような音色で弾き始めた時、
あまりの美しさに鳥肌が立ったことがありました。
これは、ヴァイオリンパートの音色が濡れたような・・美しさであるのはもちろんですが、
・ユッタリと均等なヴィヴラートの揺らしをそろえたり、
・バイオリン全員が、『平均律』で音程を均等に取ることで、
・『平均律で書かれた音楽』を忠実に再現したからに他なりません。
まとめ
他にもオーケストラというアンサンブルが『純正律の楽器の集合体』であるにもかかわらず、「ピアノ的平均律の発想」
で書く作曲家、書かれている作品は結構あります。
例えばプロコフィエフもその一人ですね。
彼のオケ作品はドラマチックで、どこもかしこも名旋律であることは間違いないのですが、
個々のフレーズが比較的短く、旋律の音程の跳躍の特徴なども、あきらかに『ピアノの鍵盤的楽想』です。
反対に最初からオーケストラで『発想』された旋律や楽想は、息が長く、スケールが大きなものが多いのです。
例えばワーグナーやブルックナー、シベリウスなどなど・・・。
*うーん、これって結局はピアノが得意な作曲家とピアノが苦手な作曲家の違いがそのまま、平均律で書くか純正律で書くか・・という違いに表れているのかもしれませんねぇ・・・。💦
- ・実際にどんなに面白い曲でも、ピアノの発想で書かれた曲はオーケストレーション出来ない場合があります。
- ・ピアノ曲の名曲を沢山書いているけれど、オーケストラの作品は書かない、または苦手な作曲家もいます。
- ・一方で、ラヴェルのようにピアノで書いてはオーケストレーションを楽しむ?ように、
殆どの自作ピアノ曲を自ら オーケストラに編曲する作曲家もいます。
・演奏する側にとって大事なことは、そういう楽想の『発想のされ方』についてよく観察してみること・・ですね。
平均律、純正律、どちらの発想による作品かを考えることで、演奏の工夫・効果は大きく変わってきますよ。
特に、『音程の取り方』・・和音の響き方に影響します。
オマケ!(*^_^*)
前回のBlogで『最近の弦楽器の演奏には調性感がない!』と嘆いた友人の話しを書きましたが、
そう言われる原因は「ピアノのピッチに合わせる事が普通になって、本来の純正律の音程を使えていない。」
ということになるのだと思います。
その場合の解決策はもうお分かりだと思いますが、
『楽曲の転調ごとに、各調性上の純正律のスケールを考慮した音程が使えればいい』
ということになりますね。
(*前提として、『今弾いている音が、何調の第何音になるかを確認する』必要がありますが・・・。)
是非、頑張って下さいねっ・・・!!
最後にピアノ・コンクールの審査員をした友人の苦渋のひと言・・もご紹介しておきます。💦
ピアノ演奏でも、
『音痴』って事があるんだねぇ・・・。苦笑
お疲れさまでした。!(^^)!
*次号はちょっと息抜きをして、純正律・平均律に関係のあるお話しだけの『~コラム特集~』をお送りします。
どうぞお楽しみに!!
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