Blogを更新しました~♪!(^^)!   英語版はコチラ ⇒ For English

《 Vol.5 》~ スケール・旋律 ~ / 『調性感』ってなに?

みなさんこんにちは!(*^_^*)

音楽の演奏って,《上達するほどに楽しみも増してきますが、同時に悩みも多くなりませんか?》 
・音程やアインザッツ(タイミング)が合わない・・。
・和音が上手くハモらない・・。
・テンポやフレージング、指使いやボーイングが楽曲の解釈とあっているか自信がない・・。
・上手くいったときの演奏が再現できない・・。
などの高度な気づきや悩み増えるるのは、よりクオリティーの高い演奏を求めている証拠なんです。

当サイトでは、皆さんに確信をもった演奏・合奏を楽しんで頂けるようお手伝いします。】

美しい演奏をするためには『そこ』に戻りさえすれば見えてくるという状況に応じた『響きの工夫』があります。
『響きの工夫』とはなんでしょう・・・? さぁ、一緒にひとつづつ響きの扉をひらいてゆきましょう♪

前回の《 Vol.4 》~ 倍音を意識した演奏 ~ / 名曲の響きの工夫を理解しよう!では、無伴奏とパルティータを例に挙げて、《Bachの工夫》について書きました。

今回は音階と旋律/ 調性感について以下の内容になります。

さぁ始めましょう!! (*^_^*)

もくじ

音階(スケール)

一口に「音階」といってもザッと並べても以下のように種類があります。
種類というより1)~7)まで、順に時代に応じての変遷ですね。!(^^)!

音列 ⇒ オクターブ(倍の振動数)の範囲内で、8個の特定の秩序によって配列されたスケールの原型。

教会旋法正格と変格があり、

👆《右側偶数の変格=『Hypo』とは、4度『下の』という意味》
👆《16世紀に新たに追加されたもの》

上記左側の8つの音階は初期の教会旋法で、右側4つの音列が16世紀になってあとから追加され、
” ラ ” と ” ド” で始まる左側の音列、Aeolian(エオリアン)とIonian(イオニアン)の2種類がそれぞれ、
『a moll』、『C cur』に発展し、次第に他は使われなくなったようです。

・古いとはいえ《教会旋法》で歌う『グレゴリア聖歌』はシンプルで美しく、現代の耳で聞いても新鮮に感じませんか? (*^_^*)

3)追加された2種類が現在の長調、短調のスケールです。👉
   

《長調と短調(和声短音階)のスケール
旋律短音階の上行・下行(自然短音階)

4)そして上行時には#、下行時には♭を使う半音階・・

全音音階(ホールトーンスケール)・・・増三和音(三和音の上方変位)によるスケール。
(リスト・グリンカ・ドビュッシーがよく使っているようです)

ペンタトニック(5音音階)・・・独特のやや民族音楽の節っぽい音階です。

その他・・・モルドゥア民族的音階各種ドデカフォニー(12音音列の事ですね)

以上が過去の作品に登場する大まかな音階の種類ですが、Bachの平均律以降、近現代・プロコフィエフやストラヴィンスキー『複調の音楽』辺りまで含んで、殆どは上記 3)~4)のスケールで作曲されているわけです。

*****

ところでスケールを大まかに紹介したので、簡単に旋律(メロディー)についても触れておきますね。

旋律(メロディー)

・メロディー(特に主旋律)は『楽曲の顔』で、非和声音やトリルなどからなる装飾音が付けられ、
担当楽器の一番『美味しい音域』で、美しい音色を演出するという、作曲家の腕の振るいどころです・・。
お洒落な和音や伴奏、そして個性的なリズムやメリハリなどなど、印象に残る工夫が随所に施されていますね。


・みなさんが演奏会を聴いて帰路に就くとき、
今聞いたばかりの名曲の旋律が頭の中に『余韻』として残っていたりしませんか?!(^^)!

・その『楽曲の顔』ですが、旋律の構成・音型から見て大きく分けて3つの側面を持っています。
僕はその3つを『旋律の3要素』と呼んでいます。以下がその3要素です。👇
  

  • スケール ・・・音階上に並ぶ音型。時には半音階など。
  • アルペジオ・・・分散和音の形。密集形・開離形、逆アルペジオなどの幅広い変化を持つ。
  • ターン  ・・・多くは音程の幅のある跳躍を伴って、音が飛んだ後に戻ってくる形。音程幅の狭い場合もある

もちろん、これ以外に例えば保続音と呼ばれるように、同じ音をかなり長く保持するものや、
その間に揺らぎを入れてトリルや装飾音のターンが入ったり、実際にはもっと多様性を伴いますけれど

例えば皆さんがよくご存じの【ラヴェルのボレロ】。

ヒト節がやや長いメロディーですが、音域も広くリズムも楽しい主旋律と対旋律が30数回も繰り返して飽きない・・。
楽器も次々と変わってゆくので音色や音域の変化に富み、何度聞いても飽きないような工夫を凝らしています。
この様にメロディーにはあらゆるパターンがあり、作曲家が表立って趣向を凝らす腕の見せ所なんですね。

『調性感』てなに?

さて皆さん、『調性感』って言葉を聞いたことがありますか?

芸大で弦楽器の講師をしている友人の一人が、ある時こんなことを言っていました。

「最近の学生さんはピアノで音を取ってくるからか、妙に音程は良いんだけど、どうも調性感が弱くて・・・。」  👈 お友達の愚痴

実はこれ、重大な問題なんです。何がどう問題なんでしょう?
一緒に考えていきましょう。

まずは、内容と含まれている問題点を確認してみましょう。

  1. ・弦楽器であるということ・・・。
  2. ・音を確認するのにピアノの音に合わせているということ・・・。
  3. ・曲の始まりの所属調はともかく、途中での転調についていけていないということ・・・。

1.については、弦楽器であるがゆえに音程を作る拠り所(ピアノの鍵盤や木管楽器のキー)が無い・・
 つまりは純正律の楽器であるという事。
2.については、純正律の楽器を平均律の楽器と合わせて音を取っている事。
3.については、楽曲中の転調のポイントが理解できていない事と、転調によって調性のイメージが出来ていない事。

ということになりますね。

結論を言ってしまうと、実はこの1.~3.のどれにもあてはまる事として、
純正律平均律の違いやそれぞれの利点、不利な点について理解・使い分けが出来ていない
ということが共通しているのです。汗

『純正律』、『平均律』については次回のブログでその特徴とそれぞれの利点、不都合?な点について詳しく書きますが、今回はここでちょっと実験をしてみましょう。

* * * * *

先ずはハ長調のスケールを思い浮かべてください。
ゆっくりでいいので「ド・レ・ミ・ファ~♪」と歌ってみてください。
正しい音程で上手く歌えましたか?

それでは今度は同じくハ長調のスケールを ” ファ ” の音から開始してオクターブ上の ” ファ ” まで歌ってみてください。
ハ長調のスケール上で ” ファ ” は主音(調の始まりの音)ではなくて、第4音=下属音ですよね。
同じハ長調のスケールなのに、主音の ” ド ” から始めるのと違って途中の ” シ ” の辺りで違和感がありませんでしたか?

ファから始めると、どうしてもヘ長調のイメージを持つためにシの音に♭をつけたくなるのです。

同じようにレ(=第2音、上主音)から初めてみてください。
今度はファの#はまだ我慢できても、ドを高く取りたくなりませんか?

この調子で元の調を二長調(D dur)や変イ長調(As dur )、何調でも構いませんので全ての調でいろいろと試してください。
・開始音も主音以外なら何の音(調性上の第〇音)から始めても構いません。
・さらにテンポをドンドン上げていってみてください。
・短調(和声短音階・旋律短音階)も試してみてください。


どうですか? 上手くできますか? なかなか難しくないですか?
その都度、調号上の臨時記号周辺、又はオクターブ上の到達音1つ前(導音)に違和感ができませんか?

これは、開始音=主音のイメージが強いために、自分がいま何調にいるのか、何調を歌っているのか、
調号(#♭)に左右されて一瞬錯覚を起こすんです。
・逆にいえば、主音から始まってさえいれば、ある程度の音感があって調性=調号の理解が出来ている人なら、

頭で考えながらでも難なくできると思います・・・。
・実際、開始音が主音でない場合は調性をしっかり理解しながら、その調性にドップリ浸らないと間違えそうになって結構やりにくいですよね~。(^^;)

でも、よく考えてみてください。
実際の楽曲のメロディーは(メロディー以外でも)その調の主音で始まるとは限らないのです

この実験?は、僕が実際にソルフェージュの授業の際に生徒さんにやってもらっていました。
みんな結構苦労してます。苦笑

* * * * *

さて、『純正律』『平均律』については次回のBlogでまた詳しく取り上げますので、そろそろ今回のまとめです。

先ほどのスケールを主音以外からスタートするという実験でお分かりかと思いますが、

・自分で音程を作るということは、
そのスケールが何調の上に存在しているか常に意識する必要があるのです。

そして、これは絶対音感相対音感とも繋がってゆきますが(これについても後のBlogで詳しく)、
それ以前にスケールと連動して、

  • ・調性の色合いをイメージする必要がある⇒平均律の場合
  • ・その調の第何音を弾いているかの理解が必要⇒純正律の場合

ということ考えることがとても重要なのです。
そして、その理解と音程感を持った演奏が調性感のある演奏ということになりますね。

ー今回はここまで!ー  お疲れさまでした。(*^^)v

*長くなったので今回『コラム』はお休みです。
近々、まとめて『コラム』だけの号を発刊するつもりですので・・そちらもどうぞお楽しみに。(*^-^*)

それではまた次号でお会いしましょう!!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

作曲家・指揮者・ピアニスト

これまで40年余り、音校講師としてのLessonや講義の他、オーケストラ・ブラス・ミュージカルなど、多くの演奏現場や編曲の仕事での経験を元に、音楽演奏の貴重なヒントになる内容をお伝えしてゆきます。

コメント

コメントする

もくじ
閉じる