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《Vol.7 》ちょっと息抜き/〜コラム特集〜

みなさんこんにちは。

前回お伝えした通り、今回は演奏の工夫についての内容を一回お休みして
『Blog特集!』ということで、これまでの内容に関係する話しをいくつかまとめてお送りします。

お楽しみください。~♪ !(^^)!

もくじ

ピアノを純正律で弾くんですか・・・?!

学生時代の頃、とあるアマチュア合唱団のピアノ伴奏をしていた友人のピンチヒッターで稽古ピアノを引き受けたのですが、
その合唱団はあるバロックの名曲を、


『古楽器のオーケストラと教会で共演するために、日頃から純正律で練習をしている・・・』


というちょっと珍しい合唱団でした。


そこの指揮者のH先生は、バロック音楽、特に純正律での演奏を専門にしておられ、毎回、練習開始から延々と
純正律についての講義に時間を割き、最後の15分くらいになってやっと音を出す・・といった練習内容でした。
長い講義の間伴走者はずっと「待機」でしたが、それはそれで純正律について勉強する良い機会だと思っていました。

かなり待たされてから、「さぁ、それではここまでの所を歌ってみましょう」ということになり、やっと伴奏の出番・・・。


ところがすぐに演奏を止められて、

『伴奏の方も合唱に合わせて純正律でお願いします。』・・・・・。


「え~っ?どうやってピアノで純正律を・・!?」とちょっと困っていたら、先生曰く、
タッチで音程感を変えて純正律に合わせて下さい。』と、【超・難しいご注文】を頂いてしまったのです。


純正律の講義の内容はそこそこ理解していたので、できるだけご希望に沿うように、と調性上の音程感をそれっぽくタッチを変てみたりの大苦戦です!


💦だくで練習終了後に先生のところへ行き、ご感想を伺ったところ、


「Sさん(大ベテランで有名なピアニスト)はタッチで実際に純正律を弾き分けていました。」とのこと・・・。

今思うと、これこそが純正律特有の『調性感のことだったのでした・・・。

挑戦!純正律でピアノを調律!?

それからです。

ある意味で純正律の『美しさ』はまったようで、YAMAHAの「ミュージックディレクター」という、自分で音程を微調整できるシンセを買い込み、日々純正律のまね事や、純正律特有の美しく共鳴する3和音やズレるオクターブ、等々をわざと作ってみて、どの音程をどう修正すれば三和音が綺麗にハモるか・・というような遊び?にハマっていました。

(後になって、オケや合唱のリハーサルの際に和音や音程の指摘、修正などにこの時の遊びが役に立ちましたが・・。)
~(*‘ω‘ *)~

自宅のピアノも、調律師さんを頼んでわざわざ純正律に調律してもらったり、もしてみたのでした。


もともと、ピアノは1つの音で3本の弦を同時にハンマーで打つように出来ていて(tre corda)、
それぞれをほんの数Hzずらして調律することで『より共鳴して楽器が鳴るように出来ている』・・・という事なのですが、

(3本をユニゾンとしてピタリと合わせてしまうと、響きが減って楽器全体が鳴らなくなるらしいです。)


1つの音に3本も弦があると、個々の音階音を純正律の不規則な周波数の音列に合わせられなくなる、
とのことで、そのうちの2本を鳴らないようにゴムを挟んで共鳴を止め、音域もオクターブまでに限定して、
実際に純正律で調律してくれました。

「はい、これが純正律です。」

結果、たしかに調性によっての色彩?の変化は感じるような気はする?ものの、
三度は綺麗にハモるけれどもオクターブが濁る上に、響きを弦2本分止めているせいなのか、

全体にくすんだ様なこもった響きになって、僕も調律師さんもお互いに苦笑してました。

(実際にBachを弾いてみても特に美しく響く・・という感じではなく。)汗

*恐らくは先の合唱団の先生が仰りたかったのは、音程・・ではなくて、
純正律らしい調性上、スケール上の響き方の事だったのだと、ようやく納得できました。

ピアノって
巨大な共鳴板や反響板としての大きなフタ、
3本づつで共鳴する弦、
サステインペダル、
・ピタリと周波数の合う平均律のオクターブ・・と、
音を重ねるほどに、広い音域でよく鳴り響くように

考えて作られた楽器なんですね。💡


連弾や2台ピアノの演奏が豪華な音がして心地よいのは、平均律特有の『醍醐味』です!

自分で調律をしたかった友人

さて、調律についてもう一つお話ししましょう。
これも学生時代からの仲の良い友人の話しです。(#^.^#)

「将来はどこかの無人島にこもって、誰にも邪魔されずに静かに作曲をしたいものだ。
そのためには、ピアノの調律くらいは自分の楽器として、自分で出来なくては・・。」

と、急に何を言い出すのかと思ったら、ある日、いきなり調律師の仕事道具一式を買いそろえてきて、
「実戦と経験で独学で調律を覚える!!」のだとか・・。

思いついたら止まらない?彼の事。
不安に思って様子をみていたところ、自宅の自分のピアノには一切触れずに、
学校の練習室にあるアップライトピアノを使って、片っ端しから素人調律のまね事・・を始めたのです!!

どう見ても『壊している』としか見えませんでした。((+_+))                         

案の定、彼が「調律?」を終わって犠牲になったピアノが次々に増えてゆくだけ・・で、
やがて自分でも諦めたのか、いつの間にか道具も放りっぱなしになっていたのでした・・・。💦

* * * * *

後にこの話しを調律師さんにしたところ、


「学校でキチンと調律を学んだ人でさえ、数をこなしていない初心者の場合ではオクターブまでを合わせられても、
2オクターブ、3オクターブと音域が広がってゆくにつれてだんだんとズレが広がって収集がつかなくなり、
泣き出すほど苦労する経験をする」のだそうです。


1つの鍵盤に3本づつの、張りが強くて長さのある弦のピッチを微妙にズラして、さらに3度と8度でハモらせて、
それをオクターブ超えて10度で合わせ、2オクターブ ~ 8オクターブまでの音にに広げてゆくのですから・・・。
経験と根気がいる仕事ですね。汗


それにしてもこの友人の場合、調律という作業には
かなりの経験が必要』だということは、初めから想像がつくんですけどねぇ、普通は・・・。苦笑

平均律のCl.奏者とTpのスタジオプレイヤー

前回のBlogで、ピアノの蓋に頭を突っ込んで平均律でドビュッシーを演奏したCl.プレイヤーについて書きました。
平均律のお話しの最後として、ここでさらに詳しく書いてみたいと思います。

ある時、フランス在住でパリ音楽院で、ピアノ専攻とアンサンブルを教えている後輩のピアニストさんから、


「Cl.の天才少年を日本に連れて行くから是非聴きに来てください。」


という連絡をいただき、お二人が来日してから初のホールでのリハーサルを聴きにお邪魔しました。

パリの音楽院には『飛び級』という制度があって年齢的にまだ至っていなくても、実力があれば上級クラスに上がれる・・ということだそうで、彼の場合はまだ二十歳になるかならないかですでに大学院生だそうでした。


Cl.専攻の場合たまにいるようですが、彼もまたとてもピアノが上手だそうで、

伴奏者の彼女曰く、


「彼は、滞在中伴奏者の日本の実家に宿泊している間、クラリネットはほとんど楽器ケースから出さずに、
毎日毎日ピアノばかりを弾いていた」、と苦笑していました。

それ程にピアノに精通しているだけあって、アタマをピアノのフタの中に入れての本番での彼の演奏は、
平均律にピタリと溶け合う音程感で、それは見事で美しいドビュッシーでした ~♪~

そして実は、伴奏のUさんはリサイタルの伴奏をする際、毎回、全プログラムを暗譜で演奏するのです。

リハの時はピアノの上に譜面を開いていましたけれど、本番ではいつものことながら譜面台さえ外してあります。

そして、美しく柔らかいピアニッシモの音色で、ピタリと独奏者の呼吸につける伴奏は見事でした

* * * * *

もう一人、純正律の楽器を平均律にピタリと狙って音程を合わせる特殊技能?のTpプレイヤーのお話しです。

僕が劇団の指揮者の仕事をさせていただいていた時期に、
舞台用のミュージカルの音源を、生のオーケストラでスタジオ録音するというお仕事を数回させていただきました。

スタジオ録音・・というのは、中学生の頃に作曲の師匠に連れて行っていただいた記憶がありましたが、舞台での生の演奏とは多くの違いがあり、面白い経験でした。
詳しくはオフィシャルページの“インタビュー”をお読みください。(#^.^#) 👉

何といっても舞台演奏との一番の違いは、録音後にプレイバックを聴きバランスを修正したり、Take2を録り直したり、
後から音源を加工できることでしょうね。


その際に演奏のミスを指摘して、その部分だけを録り直して修正したりするのですが、
フレーズ丸々の録り直しならそのパート、又は個々の楽器のその部分をもう一度演奏してもらえばいいのですが、
フレーズの中の1音だけミスした場合、

いわゆる「外した」音が単発だった場合に、その音一発のみを狙い撃ちで録り直す・・


というような難易度の高い差し替えが必要となると『彼の出番』となるのです。
その外した音のみを単発で入れ直すことを『パンチ・イン』と言うそうですが、彼の仕事はまさにこれ!

呼ばれて、スタジオに着いて(数人のボウヤに囲まれて)、ウォーミングアップをして音のコンディションを整えると、
おもむろに録音をチェックします。


自分が音を被せるべき箇所を念入りに確認すると、ほぼ練習もなく即テスト本番


前後の録音を流してジッと聞き、その個所にきて『チュイ~ン』と超ハイトーンを一発で決め
ハイ、この仕事は終わりです・・・。👏ブラボー!!

あまりにも見事にそのミスの音だけを正確な音程で、しかも一発で正確に被せるので驚いてしまいました。

そして早くも楽器を片付け、さっさと帰り支度をしている彼に話しを聞いたところ、


『某音大の調律科を卒業してから、趣味で吹いていたTpで仕事を始めた・・。』

とのこと。

なぁるほどねぇ・・・。
音程も超正確にピタリとハマるわけですね。


平均律の耳は、こういう時には大変便利だ・・と、つくづく感心した貴重な?お話しでした。

* * * * *

『コラム特集』はいかがでしたか?

次回からはまた演奏法の続きに戻って、


『五度圏~調性のこと』そしてさらに,

『終止形とカデンツ』へとすすみ、
『チューニングってどうやるの?』から、
『拍子とテンポ』、
『アゴーギク』
etc・・・

と、内容を展開していきますので、どうぞお楽しみに!!

それでは次号でまたお会いしましょう。(*^^)v

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この記事を書いた人

作曲家・指揮者・ピアニスト

これまで40年余り、音校講師としてのLessonや講義の他、オーケストラ・ブラス・ミュージカルなど、多くの演奏現場や編曲の仕事での経験を元に、音楽演奏の貴重なヒントになる内容をお伝えしてゆきます。

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